プリンタの中を探検してみませんか?

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プリンタの中を探検してみませんか?

こんにちは。ブラザーの枦山です。

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突然ですが、クイズです。もし月でこのボールを投げたとすると、一体どのような軌道を描くでしょうか?


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皆さんだったら、どうやってこのクイズの答えを探し出しますか?


実際に宇宙に行って、月でボールを投げてみればわかるのですが、そんなことなかなかできっこありません。


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特殊な能力を持った人なら、ひょっとするとクイズの答えを水晶玉に映し出すことができるかもしれませんが...


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きっと多くの人が、目に見えない実際には体験できない月での出来事を予測するのは難しいですね。


実は商品開発も同じなんです。目に見えないこと、実際には体験できないこともたくさんあるんです。では、レーザープリンタを例に挙げて考えてみましょう。レーザープリンタはトナーという粉を紙に載せ、熱と圧力を加えることで印刷をします。(詳しくはコチラ


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でもその粉の一粒一粒は、1万分の5cm~1万分の10cm程の大きさです。

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こんな小さな一粒一粒のトナーがプリンタの中をハイスピードで移動し...、


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トナー:『えっさ、ほっさ』


紙に載せられ、印刷されるわけですから、肉眼で見るのは至難の業ですよね。

でもそれが見えないと商品の中で何が起こっているのかわからず、お客様にご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。お客様により安心してお使いいただくため、実際には目で見て体感できないことも僕ら開発者は理解するよう努めなければならないんです。


そこで僕ら開発者は、実際には見えない予測困難な事柄を数学を使って理解しようとするんです。


ということで、ちょっぴり数学を使いながら、普段は見ることができないプリンタの中を探検してみようと思います。



・・・とその前に、冒頭でお話ししたクイズを数学を使って解くと答えは次のようになります。

地球と月でボールを投げる時の軌道

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地球と月でボールを投げる時の雰囲気

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(計算は次の条件で行っています。)


  • 45度の角度でボールを投げ上げています。
  • ボールの初速は36km/hです。(←地球の重力で10メートルに落ちるところから逆算)
  • 空気抵抗など重力以外にボールに働くであろう力は考えていません。
  • 逆に言うと重力しか計算してません。
  • 月の重力は地球の重力の6分の1としています。
  • なので、飛ぶ距離も高さも6倍になっています。
  • 野球のボールを想定して計算をしました。
  • 動画中のボールは実際の大きさにすると点にしかならないので、約7倍の大きさで表示しています。


さて、このクイズの解答のように予測困難な事柄や、実際に目で見て確認できないことを数学を使って模擬的に実験することを『シミュレーション』と呼びます。そのシミュレーションを使って、実際には目で見て確認することができないレーザープリンタの中、特にトナーと呼ばれる粉がどんな動きをしているのか、その辺りを覗いてみましょう。


その前に、レーザープリンタの仕組みの確認からはじめましょう。レーザープリンタはトナーと呼ばれる粉を紙にくっつけることで印刷を行います。ですから消耗品としてトナーというものをお客様にお使いいただいています。


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でもこのトナーカートリッジ、トナー(粉)が入っているただの箱ではないんです。よぉく、側面を見ると・・・


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何かローラーのようなものが見えますね。実はトナーカートリッジの中には、トナー達をかき混ぜる役割をまかされた『ハネ』が入っているんです。


トナー達が一箇所に固まらず、まんべんなく紙に印刷されるように、この『ハネ』がトナー達をかき混ぜるというわけです。混ぜている限りは水のようにサラサラしているトナー達なんですが、


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トナー:『さらさら...』


かき混ぜていないと...

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トナー:『でーん』


お互いの重みで押し固まってしまうんですね。さらさらの小麦粉も手でギュっと握ってみると固まると思いますが、それに似ていますね。


トナー達が固まってしまっては、お客様に綺麗な印刷をしていただけなくなってしまうので、この『ハネ』はとても大切な働きをしているんですね。


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羽がないと:トナーは固まってしまうこともある

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羽があると:トナー達は仕事をする


でも問題になってくるのは、この『ハネ』です。ちゃんとトナー達をかき混ぜてくれているのでしょうか?トナーの一粒は100万分の5cm~100万分の1cm程の大きさです。絶えず動いているプリンタの中のトナー一粒一粒を観察するのは至難の業ですね。


という訳で、先ほどお話ししたシミュレーション、つまり数学を使って、トナー達がどんな動きをしているのか、実際の動きを見てみることにしましょう。



シミュレーション




○ひとつひとつがトナーの粒子です。


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このように地球の重力、湿度、温度、トナーの硬さ、粒の大きさ、表面の粗さ・・・など、様々な条件が重なると、トナー達は一箇所に固まってしまっています。


それを『ハネ』を使ってかき混ぜると・・・


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上のように、トナー達はあちこちに散らばり、固まることなく、綺麗な印刷ができあがるわけです。


こういった目で見えない部分を数学を使って可視化することで、トナーカートリッジの中はどのような設計にすべきか?、お客様にもっともご満足いただけるには『ハネ』はどんな形をしていたらいいのか?そんなことを考えながら、シミュレーション(目には見えない事柄を模擬的に実験)をするんですよ。


一つ一つの計算から、トナー達の動きを可視化することができ、様々な条件でプリンタや複合機を使われるお客様に喜んで頂けるような、トナーカートリッジの開発に活かしています。今後も、シミュレーションを用いて開発者がアイデアを膨らませることで、お客様がより快適にお使い頂ける製品を作れるようにがんばっていきたいと思います。



編集:2006年10月23日


このトピックは2006年6月28日、30日、7月5日、7日のブラザー社員のブログを再編集したものです。

*1:映像と写真は実際に商品化している商品のシミュレーションではなく、公開用に作成したものです。