電波って何者?

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電波って何者?


ブラザーの大橋です。電話、無線LANなど多くの商品が電波の力を活用していますね。でもその電波とは一体何者なんでしょうか?ここでは電波の正体を探ります。

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まずは電波のお話に入る前に、磁石と電気のお話からさせてください。実は電波と磁石・電気は密接な関係があるので・・・。


磁石の領域


子供の頃、磁石で遊んだことがありますよね。N極にS極を近づけるとひきつけ合い、逆にN極にN極を近づけると反発しあいます。


あれは磁石の周りに『磁界』と呼ばれる磁石の領域が広がっているからなんです。砂鉄を磁石のそばにばらまくと、砂鉄が磁石のまわりを取り巻く…なんて実験を子供の頃に行ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。あれは磁石の領域、『磁界』の影響なんです。


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地球全体が『磁界』で覆われているために、方位磁針が常に「北」を指すのと同じですね。


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電気の領域


磁石の次に電気のお話です。その磁石の領域と同じように、電気の領域というものもあります。それが『電界』です。


電気が流れている側には『磁界』と同じように、電気の領域、『電界』が広がっているんです。生活になくてはならない電気ですが、家電製品やコードの回りには電界が広がっているんですよ。


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電源コードの周りには電気の領域『電界』が広がっています。


さてさて、話を電波に戻しましょう。


『電波とは何者なのか?』


この謎を解くには、今お話ししました『磁界』と『電界』との密接な関係を知らなければなりません。『磁界』と『電界』の関係を見ていきましょう。


磁界と電界の関係


磁石の周りには『磁界』という磁石の領域が広がり、電気の流れている周りには『電界』という領域が広がっていました。


f:id:brotherblog:20060322175423j:image磁界 f:id:brotherblog:20060322175419j:image電界


仲良しな『磁界』と『電界』


この二つの世界、『磁界』と『電界』は、実はとっても仲良しなんですね。不思議なことに『電界』が生まれると、そのそばには『磁界』が生まれ、『磁界』が生まれるとそのそばには『電界』が生まれるんです。


不思議ですよねぇ。お互いに影武者のような存在でしょうか(笑)

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ちなみにこの『電界君』と仲良しの『磁界君』を上手に使っているのが『モーター』なんです。ちょっぴり脱線して、モーターはどうして動くのか?というお話もしてみましょう。


モーターの 原理


1)電線に電気を流すと+極から-極に流れます。その時、電気が流れる電線の周りには『磁界』が生まれます。この磁界がモーターを動かすのに役立つんですね。

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2)モーターにはコイル状にした電線が入っていて、この電線に電流を流すと、あたかもコイルが『磁石』ような働きをするようになります。これが電磁石です。

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(簡単のために電線を一回だけ巻いたコイルにしてあります)


3)そこへ下のような永久磁石を近づけると…

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4)電気が流れて磁石の働きをするコイルと、永久磁石の力が引き合ったり、反発しあったりすることで、コイルがくるりと回転しはじめます。

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5)このままではコイルの回転は止まってしまいますが、電気の流れる向きを順次切り替えることで、モーターを連続して回転させることが出来るんです。


ミニ四駆にもモーターが入っていますが、あれも乾電池で電気を流しますよね。電池のおかげでミニ四駆のモーターの中には磁界が生まれ、それが永久磁石の磁界と作用することで勢い良く回転し、ミニ四駆は走るんですね。



ついつい脱線しすぎてしまいました。身近なアンテナを例にとって、電波とは何者なのか?再び考えていくことにします。


皆さんの街にも…

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こんな形の電波塔があるのではないでしょうか?電波塔には電波を発信するアンテナがついています。このアンテナが何をしているかというと…『電流』を流しているのです。電流を流すとどうなるかと言うと…

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そうです。上でお話したように『磁界』が発生します。磁界が発生したところで『磁界君』の仲良し『電界君』の登場と願いたいのですが、このままでは『電界君』は登場しません。

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『電界君』に登場してもらうにはちょっとした工夫が必要です。その為にどうするかというと…電流の量を変えるのです。

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電流の量を変えると、それにあわせて磁界の強さも変わります。電界はこの『磁界の変化』によって発生するのです。

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やっと『磁界君』と『電界君』に登場いただいたのですが、このままでは電流をどんどん増やしていかないといけません。そこで、続けて電波を飛ばすために、電流の量を変えるだけではなく、電流の向きも変えているのです。つまり…

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強く、弱く、向きを変えて、強く、弱く、向きを変えて…。こんな感じでアンテナに電流を流すのです。このように電流を流していると…ちょうど電流の向きが変わるタイミングで磁界の向きも変わって、反対まわりの電界が生まれます。

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この時、2つの反対周りの電界を磁界が結ぶようになります。これが電波が飛び出す瞬間だとイメージしていただければと思います。このように電流の向きが変わるたびに『電界の環』と『磁界の環』が次々と出てきます。

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こんな感じでアンテナからは『電界』と『磁界』が次々と生まれているんですね。電波、正式名を『電磁波』といいますが、この『電界』と『磁界』の連なりこそが電波の正体だったんです。



この『電磁波』が遠くまで届き、皆さんのご家庭のアンテナが電波を受信するので、テレビを見たり、ラジオを聴いたりすることができるんですね。ちなみに、電波は宇宙、つまり真空でも届きます。ですから、地球にいてもスペースシャトルや、火星探査機と通信ができるわけですね。


ところで、この磁界と電界の環(=電波)がどのくらいの速さで作られるかを表したのが『周波数』です。1秒間に磁界と電界の環がどのくらい作られるかをHz(ヘルツ)という単位で表しています。


例えば周波数が1605KHz(1605キロヘルツ)のAMラジオを考えてみましょう。K(キロ)というのは1000の意味ですから...『1,605KHz(キロヘルツ)=1,605,000Hz(ヘルツ)』となります。波の絵で表現すると…

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こんな感じになります。これは1秒間に160万5000の電波の波が作られているという意味になりますね。


電波の雑学


さて今までは『電波って一体何者なのか?』そんなお話をしてきました。ここからはもうちょっとだけつっこんで、『電波で一体に何ができるの?』をお話ししていきたいと思います。


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電波はこのような波の形で表現できますが、この波が1秒間に何回あるのかを表すのが『周波数』です。

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例えば、最新の携帯電話ですが、機種によっては2GHz(ギガヘルツ)の電波を使うので、1秒間にこの波が...2,000,000,000(20億)回も繰り返される電波を使っているんです。


ちなみに、お皿のような形をしたアンテナを使って衛星放送をご覧になる方もいらっしゃるかもしれません。あのお皿が受け取る電波も、携帯電話と同様に高い周波数の電波なんです。

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アンテナの方向を変えると画像が乱れることもあるかもしれませんが、それは高い周波数の電波が光のように『直進する』性質を持っているためなんです。アンテナの向きを変えると、衛星から電波をスムーズに受け取ることができなくて、画像が乱れてしまうこともあるんですね。

 

逆に低い周波数の電波(1秒間の波の数が少ない)は、高い周波数の電波と違って回り込む性質をもっています。ですから、低い周波数のラジオ(例えばAMラジオ)は高い周波数のラジオ(FMラジオ)よりも山間で、聞きやすいんですね。


他にもご家庭で使われている電子レンジも電波を上手に使っている家電製品ですよ。電子レンジは電波を温めたい食品に浴びせるんですよね。

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この電波を食品に含まれている水にあてると水分子が徐々にゆすられ....


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水分子:『(((( ;゚Д゚)))震えるぅぅぅ』


水分子の動きが活発になり、摩擦熱が生じます。この熱で食品は温まるんです。

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水分子:『あったまるだろ?』


電子レンジは2.4GHz(ギガヘルツ)という電波を使います。この電波はご家庭で使われるデジタル子機や、無線LANと同じ種類の電波なんです。ですから、もし電子レンジのそばで使っているデジタル子機や無線LANの調子が悪い時には、電子レンジなどから離れてお使いいただくなどしてみてください。


さてさて、その無線LAN、最近急速に普及してきましたね。無線LANを使ってインターネットをお楽しみになる方、パソコンから無線でデータをプリンタへ送り、印刷するなんてお客様も増えています。でも...

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このように、電波を送るだけでどうやってプリンタやパソコンはデータを通信できるんでしょうか?実はそれはとても簡単な理屈なんです。パソコンやプリンタは『0』と『1』だけで全て判断をします。例えば...


『●』のように、黒の印刷をする時には『1』、『○』のように印刷をしない時には『0』という感じで、パソコンがプリンタに命令するんですね。


仮にこの『0(白:印刷しない)』と『1(黒:印刷する)』を表すルールを下のように決めてみましょう。

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このルールに従って、パソコンとプリンタがやりとりすれば…


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という感じで、どこに黒い点を塗るべきかをプリンタは判断できるんですね。こうやって無線を使った印刷は出来上がるんです。




ここでは電波の正体とその活用例についてお話しました。皆様の雑学として、何かのお役に立てればと思います。


編集日:2006年10月23日


このトピックスは2006年3月22日,24日,29月,31日,4月4日のブラザー社員のブログを再編集したものです。